【14 エンジンRCカー基本ガイド - タミヤRCスタートガイド -】
エンジンRCカー基本ガイド
力強いパワーと迫力ある排気音は、エンジンRCカーの大きな魅力です。そのメカニズムを電動RCカーと較べると、ステアリング関係は基本的に同じですが、 走りを生み出す動力関係が大きく違ってきます。模型用のエンジンも実物のオートバイや自動車のエンジンと基本的に同じ原理で作動します。またクラッチやブ レーキといった実車と同様なメカニズムを備えています。そうしたメカニカルな面白さもエンジンカーならではの楽しさです。
1.プロポとコントロールのしくみ
受信機用電池ボックスのついたエンジンRCカー用の2チャンネル・2サーボのプロポセットを使います。2つのサーボのうち一方をステアリングのコントロー ルに、もう一方をエンジンのスロットルの開閉によるスピードコントロールとブレーキに使います。なお、エンジンRCカーの場合、バックがない車がほとんど です。(電動RCカー用の2チャンネル・2サーボ・プロポセットは、受信機用電源と走行用ニカドパックを共用するため受信機用電池ボックスが含まれないセットがほとんどですが、同じメーカーの受信機用電池ボックスを追加すればエンジンRCカーに使えます)。
■エンジン始動のために
エンジン始動のために、いくつかの用品が必要です。燃料を燃料缶から車の燃料タンクに移すための燃料ポンプ、プラグを赤熱させるためのプラグヒーターです。
2.エンジンについて(エンジンの各部と機能)
タミヤ製エンジンをはじめ、模型用として一般的なのが2サイクル・グローエンジンで、これはオートバイなどの2サイクルエンジンと同じ原理で動きます。 キャブレターで空気に燃料を混ぜ、その混合気をシリンダーに吸い込み、ピストンで圧縮し、グロープラグで爆発させてパワーを取り出します。エンジンを調子 よく回転させるには空気に混ぜる燃料の量の調節がポイントになります。
キャブレター(気化器)
シリンダーに吸い込まれる空気に燃料を霧状にして混ぜ、混合気とする装置です。ニードルで空気に混ぜる燃料の量を調整し、スロットルバルブでシリンダーに 吸い込まれる混合気の量を調整します。スロットルバルブを開けるほど多くの混合気がシリンダーに送られ、エンジンの回転が高くなってRCカーの速度が上り ます。
グロープラグ
赤熱したフィラメントの熱で圧縮された混合気に点火し、爆発させます。エンジンを始動させる時にはプラグヒーターでフィラメントを赤熱させますが、始動してからは混合気の爆発の熱で赤熱し続け、エンジンの回転を保ちます。
リコイルスターター
ロープを引く力でクランクシャフトを回転させ、エンジンを始動させる装置です。引き終ったロープは、内部に組込まれたスプリングの力で巻き戻され、次にまた引くことができます。他にモーターの回転を利用した電動式のスターターなども市販されています。
遠心クラッチ
エンジンのクランクシャフトとギヤボックスが直接つながっていると、エンジンがかかったとたんに車が走り出してしまい不便です。そこでエンジンの回転が低い間は、ギヤボックスに力が伝わらないようにするのが、遠心クラッチです。
実物の自動車では、ふだんはクラッチがつながっていて、ギヤチェンジの時など足でクラッチを切ります。これに対して遠心クラッチは、クラッチが切れている のが普通の状態です。エンジンの回転が高まると、その遠心力によってクラッチシューが広がり、外側にあるクラッチベルにおしつけられてパワーが伝えられま す。エンジンがアイドリング状態など、回転が低い時は、クラッチシューはスプリングなどでおさえられていて広がらないため、エンジンがかかっていても車は 走り出さずにいられます。
3.ブレーキの作動
実物の自動車と同じように、円盤をはさみ込むようにしておさえ、回転を止めるディスクブレーキが使われています。実物の自動車やオートバイでは、アクセル (スロットル)やステアリングとは独立してブレーキがかけられるようになっています。しかし、ブレーキのコントロールを別にするとRCカーでは3チャンネルが必要になってしまいます。そこでスロットルサーボ(スピードコントロールサーボ)をブレーキをかける役目にも使い、2チャンネルでコントロールできる ようにされています。送信機のスロットルスティックを上に倒すほどエンジンの回転が上がり、もどすほど回転が下がります。中央(ニュートラル)ではエンジ ンはアイドリング、そこからスティックを下に倒すとブレーキがかかります。
4.グローエンジン用燃料
模型のグローエンジンは、専用のグローエンジン用燃料を使います。メタノール(メチルアルコール)などを主な成分とし、それに爆発力を高めるニトロメタン、ピストンとシリンダーの焼付きなどを防ぐ潤滑油が配合されています。
★ニトロメタンの量が多いとエンジンのパワーが上がる反面、始動しにくくなります。
★潤滑油には植物油(ヒマシ油)系と合成油系があります。植物油を配合した燃料は自動車などに、合成油系を配合した燃料は飛行機モデルなどに適しているとされています。
5.エンジン始動の手順
エンジンや車によって多少の違いはありますが、基本的には次のような手順になります。
(1)■車体を台の上に乗せ、車輪を路面から浮かせる。
(2)■送信機用、受信機用電池をセットし、それぞれスイッチを入れて作動を確認し、エンジンのスロットルレバーがニュートラル位置にあることを確かめる。
(3)■車の燃料タンクに燃料を入れる。
(4)■燃料タンクのチョークボタンを押し、キャブレターに燃料を送る。
(5)■プラグにプラグヒーターを接続し、赤熱させる。
(6)■リコイルスターター(プルスターター)や電動スターターなどでエンジンを始動させる。
★この時、送信機のスロットルトリムを2、3コマあげておくとエンジンがかかりやすくなります。
(7)■エンジンが始動したら、送信機のスロットルレバーを動かしてエンジンの回転を少しあげることを2、3回くり返す。
(8)■エンジンの回転が安定したら、プラグからブースターコードを外す。スロットルトリムも元に戻す。
6.エンジンの止め方
エアークリーナーをはずしてキャブレターをふさぐなどの方法でエンジンを止めます。ただエンジンや燃料タンク内に燃料が残っているのはよいことではないので、燃料がなくなって止まるまでエンジンをアイドリング回転させておくのがよいでしょう。7.エンジンRCカーの性能アップ
サスペンションなどシャーシまわりの性能アップについては、エンジンRCカーも基本的に電動RCカーと同じです。ここでは、エンジンをはじめ、動力伝達部分の性能アップについて説明します。■エンジンパワーを生かす
エンジンRCカーの場合でも、いきなりマシンそのもののパワーアップを考えるより、ボールベアリングを組込むなど、標準のエンジンパワーを有効に生かすことからスタートすべきです。またタミヤのエンジンRCカーにはオプションとして2スピードミッションが用意され、自動的にギヤ比が2段階に変わるためエンジンパワーを効果的に使えます
■信頼性、耐久性を高める
エンジンそのものの耐久性を高めるには、放熱効果のよい大型のヒートシンクに交換することが効果的です。また燃料に混入したゴミなどを取り除く燃料フィルターなども信頼性を高めるのに役立ちます。
■レスポンスを高める
エンジンの場合、アイドリング状態ではほとんどパワーはありません。ある程度の回転数にならないと有効なパワーを発生しないのですが、そうした回転数に達するまでの時間を短くするのが軽量フライホイールの効果です。いわゆる反応(レスポンス)をよくすることができ、スタートやコーナーからの加速がよくなると共にエンジンブレーキも強くなって減速にも効果があります。ただニードル調整などをしっかりしておかないとアイドリングが不安定になることがあります。
■ブレーキの強化
エンジンRCカーが機械式ブレーキを持つことも電動RCカーとの違いです。ブレーキも走行中に酷使されるパーツで、激しく使われるうちに次第に性能も低下します。強化タイプのブレーキディスクの使用は、そうした性能低下が少なくなります。信頼できるブレーキがあってこそ、コーナーの直前ギリギリまでスピードにのった走りも可能になります。
■燃料を選ぶ
使用する燃料でパワー特性が変わるのもエンジンRCカーの特徴です。タミヤには、各種のテストや数々のレースで蓄積した豊富なデータをもとに開発された2種類の燃料が揃っています。TGフューエルスーパー20はトータルバランスに優れ、防錆剤や独自の添加剤を配合した扱いやすい燃料。スーパー30は爆発力を高めるニトロメタンの含有量が多く、加速やトップスピードがアップ。高性能エンジンのポテンシャルをいっそう引き出す燃料です。
■ガス欠ストップを防ぐ
レース中に燃料不足でコース上に止まってしまうのは、たとえ燃料補給ができたとしても大きなタイムロスです。タンク内の燃料が減ったことを光で知らせる燃料センサーを装備すれば突然のガス欠ストップを防ぐことができます。
8.エンジンRCカーのメインテナンス
基本的には、やはり電動RCカーのメインテナンスと同様です。ただ、走行後の汚れには燃料成分が混ざっていること、そしてエンジンそのものも性能を保つためにはしっかりした手入れをしておくことが主なポイントです。■車体のクリーニング
エンジンRCカーの汚れには、燃料成分が混ざっていますから、タミヤのRCクリーナースプレーなどの専用クリーナーを使うのが便利です。RCクリーナースプレーをボディやシャーシなど要所々々に吹付け、ウェスなどで汚れを拭き取ります。
■エンジンの手入れ
使用中のエンジン内部は、高熱、高圧、そして排気ガスにさらされ、使用後、そのままにしておくと錆や腐食が発生しやすくなります。また内部に残った燃料成分が固まって、次の走行の時に始動が困難になることがあります。それらを防ぐには、専用にメインテナンス剤で十分に手入れをしておく必要があります。タミヤ・エンジンスプレーの場合はキャブレターやプラグを外した穴からエンジン内部に吹き付けるだけで錆や腐食の発生、燃料成分の固着を防いでコンディションを整えます。
■プラグのチェック
プラグは、シリンダー内で高温、高圧にさらされます。消耗品と考えてください。エンジンが始動できない原因にもプラグの断線はよくあります。プラグの断線は、プラグヒーターを直接接続し、赤熱するかどうかで確かめられます。時々チェックすると共に予備のプラグも用意しておきます。
■エアークリーナーの目づまり
エアークリーナーの目づまりは、エンジンへの空気の供給量を減らし、パワーダウンの原因になります。エアークリーナーの汚れがひどいようなら交換します。
■これは危ない、火や熱に要注意
エンジン用燃料は引火性があり、排気ガスも多量に吸い込むと有害です。
★火の近くで燃料補給したり、車を走らせない。
★小さな子供の手の届きやすい所や温度の高くなる所に燃料を保存しない。
★走行後、車の燃料タンクに燃料を残さない。
★室内でのエンジン始動はしない。
★ガソリンや灯油など、他の燃料は絶対に使わない。こぼした燃料はよくふき取る。
■走行後エンジンやマフラーは高温に
手にふれないように要注意、エンジンRCカーを扱うときは軍手をする。