2025年 第54回 タミヤ人形改造コンテスト入賞作品発表

万博開催に女性首相誕生と話題に事欠かなかった2025年。話題の人物から国民生活の窮状を訴える!?作品まで、今回も見どころたっぷりです。

第54回の金賞は、映画アリス・イン・ワンダーランドで挑戦の長内太郎さん。アリスの衣装の作り込みやマッドハッターの怪しげな雰囲気が目を惹き、物語のテーマである時間をイメージした時計の配置も印象的。さらに手作りのティーカップが作品の一 体感を高めています。銀賞の渡辺タクヤさんは、昭和の無頼派作家を再現。周囲の風景も忠実に作り込み、昭和の空気を感じさせる重厚な仕上がりです。3人の豪放磊落な印象を1/35サイズで表現するための、特徴を捉えた顔の巧みなデフォルメも見事です。前回に続きMM車輌を使ったユニークな作品で参加の青山祐司さんは銅賞を獲得。時空を超えた雛祭りではケッテンクラートまで平安調のきらびやかな色彩に。奇想天外なアイデアを具現化するスキルの高さが評価されました。
2025年6月に長嶋茂雄さんが逝去。コンテストにも複数の長嶋作品が寄せられました。淺木紳士郎さんは、プロとして「魅せる野球」を身上としていた“ミスター”の華麗なプレイを切り取った一コマを再現。顔の表情からユニフォームの文字、スパイクの裏側まで細部にわたる丁寧な仕上がりが秀逸です。内山聖司さんは、水木しげる先生が描く妖怪たちが集う、鬼太郎の漫画を題材に。よーく見るとその中には2025年ブレークの大阪・関西万博ミャクミャクが。昭和と令和の不思議な融合です。江田光司さんの作品は、米不足で政府の対応に一喜一憂する市民の心情をストレートに表現。米袋のベースはMMファンならすぐわかりますよね。以上の3名が話題賞獲得です。
ベースの人形のポーズから着想を得たというアイデア賞の小林秀樹さん。人形の改造は最小限ながら、それぞれの動きが有効に活かされ、作者のセンスの良さが伺えます。樽の中の兵隊に髭を生やしてみたらどうだったでしょうか。日本兵の雪山訓練を再現したMM賞の中野英生さん。木製台座の質感を上手に活かし、限られたスペースの中で緊張 感や躍動感を表現した構成力が光る作品です。新人賞の枝 秀則さんはネットの投稿画像を題材に。地下鉄の駅に迷い込んだ犬を連れ出す駅員はどこか照れくさそう。台座のホームにはパースがつけられ、作品に動きを与えています。人形改造の題材はこんな日常の一コマにも隠れていそうです。動物セットIIの登場で、人形と動物を組み合わせた作品が増えてきました。草香和裕さんは、怪物の異名をとったオグリキャップの雄姿を。騎手のシャープな仕上がりと、競走馬の持つ引き締まった馬体が見事にマッチした軽快な作品で新人賞獲得です。
ぜひみなさんも次回のコンテストに向けて感性のアンテナを張り巡らせ、自分だけのアイデアを見つけてみましょう。ご応募お待ちしています。

入賞作品

【金 賞】

[作者] 長内 太郎(49)北海道  [題名] Tea party(お茶会)

アリスの世界へようこそ!木の葉はコスチュームジュエリーを参考にクリヤーグリーン、ポーズはバレエを参考にし、パテを薄く伸ばしてカットして製作。アリスのフリルに苦戦しました。ティーカップは石粉粘土で作り、カップにはイラストを描きました。黒+茶の下地にベースホワイトを真上から吹き、その上から彩色して海外ファンタジー風の影が濃いめの色調にしています。世界中で人気のアリスの世界、人形改造の歴史でも度々題材になっている人気のアリスを私なりの世界観で製作しました。

  • 【銀 賞】

    [作者] 渡辺 タクヤ(46)東京
    [題名] 無頼の肖像〜太宰・安吾・織田作〜

    戦後「無頼派」と呼ばれた3人の流行作家の有名な肖像写真の立体化に挑戦しました。元がよく知られていた写真のため、ポーズ・配置ともに安易にごまかせず、こだわりながらも細部が全体としてうるさくならないよう、製作・色彩ともに腐心しました。各々の台座の高さはカメラの目線に準じています。安吾の書斎のゴミはプラバン1枚1枚をライターであぶり、変形した形を見ながら1つ1つを「散らかしていく」という正気の沙汰でな いことをしています。混乱の中、時代の風を背に受けた者がまとう意気、気魄が表せていたら望外の喜びです。

  • 【銅 賞】

    [作者] 青山 祐司(51)愛知
    [題名] パリピひなまつり

    子どもの頃に家に飾ってあったひな人形。人形や家具などの精巧さに興味津々で手に取って遊んでいたことを思い出し、1/35スケールで製作しました。また、着手直前に何気なくつけていたテレビで偶然パリピ孔明のドラマが放映されていて、とても面白かったためオマージュ作品にしました。ドラマ内に孔明が金ピカのハーレーダビッドソンに乗って登場するシーンがあったので、代わりにケッテンクラートで作ってみました。ぼんぼりをミラーボールにしたり、重箱にDJ機材を載せたりして、楽しみながら製作しました。

  • 【話題賞】

    [作者] 淺木 紳士郎(57)東京
    [題名] Shigeo Nagashima “Mr. Pro Baseball”

    今年は長嶋さんです。日本プロ野球史上最も有名な方なのでプレッシャーもあり、それに現役時代のユニフォームは非常に難易度が高く、できれば避けて通りたい題材でしたがどうしても作らなければなりません。何故かって?名前は出しませんが、親戚にV9時代の赤手袋の切り込み隊長がいたり、近年の従兄弟や義兄の葬儀の祭壇には長嶋さんのパネルや背番号3のユニフォームを飾りつける、そんな家に生まれたのだからこれは義務だと割り切って頑張りました。今年の入賞は本当に嬉しかったです。ご先祖様に良い報告ができました。

  • 【話題賞】

    [作者] 内山 聖司(61)神奈川
    [題名] おばけナイター

    水木しげる先生の「墓場の鬼太郎」の原作を元に作成しました。屈強な兵士を子どもサイズにバランスよく削り出すのに苦労しました。塗装は原画が白ですが、子ども向け書籍に彩色画があり、それを参考にしました。アニメ映画と違い、いつもの鬼太郎ファミリーはねずみ男と親父のみです。そこに一躍有名になった人気者にも加わってもらいました。今年日本を沸かせた関西の球団の帽子をちゃっかり被っています。「妖怪を形にしていると、彼らが応援してくれる」という水木先生の言葉を実感しながら、楽しく作りました。

  • 【話題賞】

    [作者] 江田 光司(50)神奈川
    [題名] 備蓄米に並んだ人

    ニュースで毎日目にしていたため、このテーマで作りたい!と思っていました。備蓄米の販売が発表され、テレビでそのニュースを観ていたら先頭で買った人がカメラに向かってアピールしていたので「これだ!」と思い、お米の袋に似ている土のうセットを使って製作しました。サイズもぴったりだったのでよかったです。フィギュアは何度もテレビを観ながら服の色や模様などを確認しながら作りました。フィギュアには絶対に手を抜きたくなかったので時間をかけて製作。お米の袋に顔が隠れてしまいましたが、作り込みました。

  • 【アイデア賞】

    [作者] 小林 秀樹(56)千葉
    [題名] 危機一発

    今までのコンテストの作品を観ると、非常にレベルが高く、初参加の私は正攻法ではとても太刀打ちできないと思っていました。そこで「なるべく製品の人形に手を加えず、面白いシチュエーションを表現する」をテーマに作品を製作しました。人形を並べて眺めていたら、この危機一髪の情景を思いつき製作開始。人形自体の工作は基本無改造で、2体だけ腕の角度を微調整して頭部の差し替えをしたくらい。大樽と剣は頑張ってそれっぽくしました。気軽にコンテストに参加する方が増えて嬉しいです。

  • 【MM賞】

    [作者] 中野 英生(24)神奈川
    [題名] 雪山の頂から

    3回目にして初の受賞に今も驚いています。今作は先にベースから発想を得て人形を改造しました。模型屋で見つけた、少し形の変わったベースが山の岩肌のようだと感じ、旅行で訪れた北海道旭川市の「北鎮記念館」で観た冬季装備の日本兵がこのベースに合うと考えました。人形のポーズは自然な感じにし、着ている外套はエポキシパテを薄く引き伸ばしてシート状に。シワは意識して作らず、1体につき2枚を被せました。一番大変だったのは人形の塗装です。白黒は明暗が決め手なので、その塩梅がとても難しかったです。

  • 【新人賞】

    [作者] 枝 秀則(53)栃木
    [題名] かわいい珍客

    ネットで見つけた画像があまりにも微笑ましく、これは柴犬好きの自分が作るしかないと立体化しました。動いている瞬間の作品なので、重心や各関節の位置、服のしわに気を遣いました。駅員さんと柴犬それぞれの表情を柔らかくすることで、観る人に互いの良好な関係性が伝わりやすくなるよう工夫しました。人形改造コンテストは「自分が心から好きなもの、大切にしたいもの」を模型を使って自由に伝えられる貴重な機会だと思います。ぜひ参加して、ご自身の思いを伝えてみてください!

  • 【新人賞】

    [作者] 草香 和裕(40)広島
    [題名] 怪物が伝説になった日

    今回こだわったのはゴール板を過ぎ、少しリラックスしながら走っている馬の表現です。地面から浮いた形になるので、強度と見栄えを両立できる固定方法に苦労しました。馬の体に軸を打ち込めば簡単に固定できるのですが、体には穴をあけたくない。悩んだ結果、一本の真ちゅう線をトモからつま先まで脚の形に合わせて貫通させて固定しました。その他の部分では、筋肉の表現と脚の動きに注力。馬の動画や写真を見てイメージを固め、エポパテで造形しています。騎手は日本陸軍歩兵セットの下士官を改造して製作しました。

佳作 ※五十音順

  • 【佳作】

    [作者] 上野 哲男(55)大阪
    [題名] REPTILIAN 恐竜帝国 爬虫人類

  • 【佳作】

    [作者] 戎井 聖貴(54)宮崎
    [題名] 狐の嫁入り

  • 【佳作】

    [作者] 大橋 太郎(64) 千葉
    [題名] The Old & The New
    【別画像】

  • 【佳作】

    [作者] 刑部 順(47)千葉
    [題名] ロンドンの近衛騎兵

  • 【佳作】

    [作者] 近藤 一義(63)山口
    [題名] 8番出口

  • 【佳作】

    [作者] 佐藤 邦彦(79) 岩手
    [題名] Human Motorcycles(4作品)
    【別画像1】 【別画像2】 【別画像3】

  • 【佳作】

    [作者] 永島 健司(61)宮崎
    [題名] 栄光の背番号「3」 ミスタープロ野球 長嶋茂雄

  • 【佳作】

    [作者] 並河 祥太(64)東京
    [題名] 世界が平和でありますように

  • 【佳作】

    [作者] 森尾 しょうじろう(53)福岡
    [題名] TAMIYA EVO.

  • 【佳作】

    [作者] 山野 純治(69)千葉
    [題名] HILTON SPACE STATION 5

  • 【佳作】

    [作者] 脇木 麻実(37) 広島
    [題名] 戦国の風神雷神 〜高橋紹運・立花道雪〜

  • 【佳作】

    [作者] 和田 哲志(25) 大阪
    [題名] いざ万博!

第54回人形改造コンテスト参加作品パンフレット
第54回の作品パンフレットをご希望の方は封筒に180円分の切手を同封し、住所、氏名、第54回人形改造作品パンフレット希望と明記の上、下記までお申込みください。(バックナンバーにつきましてはカスタマーサービスまでお問い合わせください)
〒422-8610 静岡市駿河区恩田原3-7 株式会社タミヤ カスタマーサービス「人形改造パンフレット5」係

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過去の入賞作品