2024年 第53回 タミヤ人形改造コンテスト入賞作品発表
パリ五輪に大谷フィーバー。海外を舞台にしたスポーツニュースが連日話題となった2024年。寄せられた作品の題材もそんな選手たちの印象深いシーンをはじめ、幅広いジャンルの傑作が揃いました。
53回目のコンテスト金賞は、思い思いのプレゼントを携えたカラフルな9人のサンタがやってきた!青山祐司さんのオリジナル作品。人形それぞれの自然なポージング、またそこから生まれる作品の一体感、構成力が見事。賑やかな声も聞こえてきそうです。ドイツのハーフトラックを連想させるサンタの配列もMMキットがベースの人形改造ならではと言えるでしょう。銀賞の虫明範雄さんは模型をテーマにしたドラマのオープニングをイメージしたそっくりさん作品。シリーズ3部作それぞれの主人公リコと共演したキャラクターがランナーにバランスよく収まり、こちらもプラモデルをベースにした人形改造のコンセプトが明快に融合した作品です。歴史上の人物に思いを馳せて楽しむ方も多いこのコンテスト。刑部 順さんは室町時代の武将、新田義貞を立体化。複数の素材を使って衣装や武具、小物を細部にいたるまで丁寧に再現した作品で銅賞受賞。作者の題材に対する研究の成果がうかがえます。2024年の話題の人物、チーム移籍後の大谷選手のめざましい活躍の1コマを切り取った淺木紳士郎さんの作品。5センチ角に満たない台座スペースですがスピード感あふれる走塁の躍動感が見ごたえです。一方の丸野吉明さんの大谷選手はにこやかにリラックスムード。しかし主役は始球式を見事に成功させたデコピンでしょうか。エンタメ界では映画「ゴジラ-1.0」のアカデミー賞・視覚効果賞獲得もビッグニュースでした。山崎監督の喜びあふれる表情を再現した並河祥太さん。ニュース性を重視した題材は短時間での製作を余儀なくされることも多いと思いますが、どの作品もじっくり丁寧に仕上げられています。以上3名が話題賞獲得です。MM賞の木村浩之さんの作品は兵士と軍馬との一体感、疾走感が秀逸。たてがみや尻尾の流れ方もにも気が配られています。1/35動物セットIIがMMシリーズに加わり、作品に応用する方も増えています。新人賞は今回初挑戦の佐藤純一さんの赤穂浪士の討ち入り。改造のベースは戦う兵士人形ですが、衣装や作風で同じ戦いでも印象ががらりと変わり面白いものです。そしてアイデア賞は人形を裸身に改造した上で動物のペイントを施す超技巧作品で参加の78才佐藤邦彦さん。鮮やかな着彩が印象的、佐藤作品ならではの台座の立体文字も健在です。今回ジュニア賞の該当作品がなかったのは残念でしたが、応募作品を見るとその手があったか、と膝を打たせるアイデアはまだまだありそうです。初めてトライする方も難しく考えずに、まずは手足や顔の組み替えから初めてみてはいかがでしょうか。
入賞作品
【金 賞】
[作者] 青山 祐司(50)愛知 [題名] 模型戦隊サンタクローズ世界中の模型好きの子どもたちのために結成された、模型に特化したサンタさんたち「模型戦隊サンタクローズ」です。RCのブルー、ミリタリーのレッド、船舶のイエローなど戦隊モノのイメージで製作しました。キットを組み立ててしまっているサンタさんもいますがそこはご愛嬌ということで。トナカイは馬のキットを改造し、RCやプラモデルなどのプレゼントはプラバンやパテなどで作りました。土台からソリにかけて太い針金を2本通しましたが、細いトナカイの足に入れるのに苦労しました。サンタさん、将来の凄腕モデラーたちに夢を運んでください!
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【銀 賞】
[作者] 虫明 範雄(57)岡山
[題名] 量産型リコ ー3人のプラモ女子の人生組み立て記ー
模型を題材にした本格的なドラマ、「量産型リコ」シリーズ 3 作目で最後とのことで、モデラーとしてひとつの形に残したいと思い今回のテーマに選びました。3 人のリコと矢島模型店の面々は皆個性的で魅力的なキャラクター。それぞれの特徴をうまく表現できるように何度もドラマを見ながら楽しく製作しました。想像力を巡らせてオリジナル作品を作るもよし、芸能人やスポーツ選手のそっくりさんを作るもよし。とにかく自分の作りたいものを作れるのが人形改造コンテストの醍醐味ですね。それでは最後に一言。「人形改造は自由だ!」
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【話題賞】
[作者] 淺木 紳士郎(56)東京
[題名] Shohei Ohtani ーSB59ー
野球で必要とされるスキルで「走攻守」とよく言われますが、これはあくまで野手に対して使われるので、大谷選手には差し詰め「走攻投」が適当でしょうか。2022 年には MLBのルールまで変えてしまうのだから新しい言葉が作られてもなんら不思議ではないと思います。日本ハムでの投、エンゼルスでの攻、そしてドジャースでの走。このコンテストで全て別チームでコンプリートできたことに感謝。ここ数年、1体の単品作品ばかりになってしまっているのが悩みと昨年、記させていただきましたが、今年はそれで良かったと思っています。 -
【話題賞】
[作者] 並河 祥太(63)東京
[題名] 祝 ゴジラ-1.0 第96回アカデミー賞 視覚効果賞 受賞!
映画「ゴジラ-1.0」がアカデミー賞・視覚効果賞に輝くというニュースを受け、人改でどう表現しようかと考え始めたのが9月上旬。最初はタキシード姿の山崎貴監督が背びれや尻尾をつけて大海で大暴れしている作品を思いつきましたが「特撮ファンに叱られるのでは?」と意見され、素直に受賞を最高の笑顔で喜ぶ姿を再現することに。眼鏡は真ちゅう線で作り、ペットボトル切り出しのレンズを接着。右手にゴジラ、左手にオスカー像を握り、足もとにはゴジラブーツがキラリ。さらに11月にはゴジラ映画次回作発表のビッグニュースが!今からワクワクが止まりません♪ -
【話題賞】
[作者] 丸野 吉明(61)宮崎
[題名] Decoy's
作品は連日ニュースで取り上げられた「SHO-TIME」から、レッドカーペットとデコピンの始球式です。大谷選手はガタイがいいので、ドイツ8トンハーフトラック 4連高射砲の防寒服人形がぴったりで、ヘッドは余っていたドイツ兵のルメットを削り出してパテで調整しました。毎年思うことですが「あなたは誰?」の顔を作るのに時間が足りなくなり、全体のバランス調整が甘くなってしまいます。師匠の言葉「手を動かせばいつかは終わる!」を信じて、テーマや構成、キット選びはもちろん、部品をなくしてもめげることなく人改に挑戦し続けたいです。恒例行事、完!
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【アイデア賞】
[作者] 佐藤 邦彦(78)岩手
[題名] Body Painted Animals
53年目のテーマは、6年前の「二番煎じ」にならないように、人間が一人ずつ各々がアクロバティックに身体を張って動物を表現するBody Paintの立体化です。現実では特定のアングルから見ないと動物には見えないリスクがありますが、そこがまた挑戦のしがいがあるポイントです。最大のメリットは、老眼にはキツい「顔を似せる必要がない」ということで、その分「造形と塗装」に専念して楽しめました。すっかりやみつきになってしまい、十二分に楽しみながら製作した結果、全 26作品が完成。作品名を考えることは英語の勉強にもなりました。
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佳作 ※五十音順
■第53回人形改造コンテスト参加作品パンフレット
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