ミニ四駆の楽しみ方・盛り上げ方を聞いてみよう!──イベント主催者インタビュー集
日本全国津々浦々 ミニ四駆のイベント主催者にインタビュー!
全国各地で開催されている、タミヤ主催の公式大会ではないミニ四駆イベント、「草四駆イベント」(草野球のような感じで)。最近では大規模なイベントから地域のコミュニティに特化したイベントまで、さまざまな草四駆イベントを見かける事が多くなってきました【タミヤ主催以外のイベント一覧はこちら】。そんな数あるイベントから、気になったイベントの主催者さんに直接お話を伺って、みなさまのミニ四駆活動を紹介します。これからミニ四駆イベントの開催を検討している方たちにも参考になるかも?第5回 自動車整備工場がサーキットに! 埼玉のご当地イベント『坂戸ミニ四駆大会』
ミニ四駆イベント主催者にインタビューをして運営のいろいろを聞いてみる企画の第5回は、埼玉県のご当地イベント「坂戸ミニ四駆大会」を主催している『安野(やすの)自動車』さんにお話を伺います。自動車屋さんが開催する、一味も二味も違うミニ四駆イベントに編集も興味津々! お話してくださるのは『安野自動車』の中の人、通称「事務員さん」です。
── 自動車教習所や自動車専門学校など、最近では車関係のスポットでミニ四駆イベントが開催される事も増えていますが、安野自動車さんがイベントを始めた頃はそこまで多くなかったかと思います。自動車屋さんがミニ四駆イベントを行うようになったきっかけを教えてください
「『そうだ! お店にミニ四駆サーキットを置いてみよう。自動車屋さんでミニ四駆ができたらきっと面白いはず…』という社長の思いつきがきっかけです。社長も私もミニ四駆第一次ブームの世代で、小学生の頃に近所の模型屋さんのサーキットでミニ四駆を走らせて遊んだ楽しい思い出がありました。その頃の記憶もあり、きっと上手くいくはず…まずはやってみようと。初めは突然の思いつきだったのですが、タミヤさんにミニ四駆サーキットのレンタルサービスがあったのも大きな後押しになりました。」
- 【ミニ四駆サーキット・レンタルサービス】タミヤでは、コース部品&装飾品の無料貸出サービスを実施しています。企業やグループ内でのイベントや、お祭り等での利用にぴったりです。
── それから12年、今では『坂戸ミニ四駆大会』は埼玉のミニ四駆イベントとしてすっかり定着していますね。1回目はどのようなイベントだったのでしょう。
「初めてのイベントは、地域のお祭りがあるタイミングを狙いました。お店の前の道路が歩行者天国になるんです。店頭にミニ四駆コースを設置し、スタッフ自前のデモカーを走らせて。興味津々で集まってくる子供たちにマシンを貸出し、実際にミニ四駆を走らせる体験をしてもらいました。」
「その後、今と同じ毎月第三日曜日にサーキットを設置しましたが、あまりにもひっそりと始めた為に最初は誰も来ませんでした。社長の作ったミニ四駆が一台『シャーシャー』と寂しく音を立てる日が続きました(笑)。その後、たまたまイベント時にお店の前を通りかかったミニ四レーサーがお友達を誘って参加してくれるようになり、最初は5人くらい…そこから口コミで少しずつ広がり、今では県外からも参加者様がいらっしゃいます。なんと九州から参加してくれる方も! ミニ四駆の輪って凄いですよね。」
── 安野自動車さんのブログを拝見するとジュニアが沢山参加されていますよね。何か工夫などしているのでしょうか?
「特に大きな工夫はしていないのですが、私の気の向くままに季節ごとのお楽しみをご用意しています。例えばハロウィンの時期にはみんなでプチ仮装を楽しんだり、寒い時期には温かい豚汁サービス、暑い時期にはかき氷。数か月に一度、同時開催の『軽トラ市』では、軽トラックの荷台にたくさんの駄菓子を積んで、駄菓子屋さんもオープンします。メインはもちろんミニ四駆ですが、ここに来るとみんなでワイワイ楽しいぞ! と思ってもらえたら嬉しいです。」
「始めた当初は大人の参加者様がメインでしたが、今ではお子様の参加もずいぶん増えたように感じます。お父さん、お母さん、兄弟や姉妹、時におじいちゃんおばあちゃんも! 皆で一緒にミニ四駆を楽しむ姿は微笑ましいですね。」
── 安野自動車さんのイベントは、初心者でもベテランでも、大人も子供も和気あいあいと楽しんでいる雰囲気が伝わってきます。イベント運営で特に気を付けていることはありますか?
「ごく当り前の事ばかりですが、参加者さんに必ず御挨拶をしています。皆様に楽しんでもらえるように、特に初めての方には、簡単なタイムスケジュールのご説明、ピットの確保や、お手洗いなどのご案内を心掛けています。小さなお子様連れの方や、お孫さんを連れたご高齢の方などには、優先的に椅子をご利用頂いたり何かお困りの事は無いか、常に様子を伺っています。」
- 整備工場内のサーキットの様子
- 「サーキットは自動車整備工場内に設置しているので、夏は暑く冬寒いです。自動車リフトの周りをサーキットで囲ったり、コースをタイヤで固定したり…ちょっと変わった雰囲気が楽しめるかもしれません。」
「私達のイベントでは、ミニ四駆の速さや勝ち負けだけに拘らず、ひとり一人の『楽しむ心』を大切にしています。例えば、お子さんが初めて自分で作ったミニ四駆を走らせたら、それだけで既に『ナイスラン! 』レースに参加出来ただけで『ナイスファイト! 』ですよね。初期の頃から参加してくれている、当時まだ小学生だったジュニアレーサーは、いまでは立派な大学生や社会人に成長しました。今では率先して運営を手伝ってくれたりと、とても有り難く、そして頼もしい仲間になっています。」
── 整備工場で行われている『坂戸ミニ四駆大会』の他にも、地元のお祭りやイベント等でもミニ四駆イベントを開催していますが、どういう経緯でお祭り等にミニ四駆を出展する事になったのですか?
「定例大会以外での初めてのイベント出展は、地元商店街の朝市でした。主催の方から『朝市の出展者が少なく、場所が余っている。誰か出店してくれそうな人居ませんか? 』とお話を頂いて、すかさず『ミニ四駆大会なんていかがでしょう? 』と提案しました。お試しのつもりで開催してみたところ、初回からかなりの人だかりで! サーキットを走りぬけるミニ四駆の魅力に、子供も大人も釘付けでした。」
「お祭りで初めてミニ四駆を知ったお子さんが興味を持ち、お店の定例大会に遊びに来てくれるようにもなりました。更にこの朝市に出店することで、他の祭りの実行委員さんからも『うちの祭りでもミニ四駆大会をやってよ! 』と声をかけて頂けるようになったんです。今では、毎月の定例大会の他に毎年5・7・8・9・10月と、年間の約半分は、出張ミニ四駆大会になっています。」
「イベントは当日参加OK、エントリー無料なのでどなたでも気軽に参加できます。レースはトーナメント方式で、開始時刻にその場に居る方へ番号札を配り、番号をもとにレースを行います。オープンとジュニアで分けていますが、初心者さんはジュニアの部に参加できる様にするなど臨機応変に対応しています。基本的にタミヤ公認競技会規則に準じていますが、車検は特に行っていません。ここは皆さんの良識にお任せしています。」
「整備工場での定例大会は、通常は社長と私の2人でコースやピットテーブルなどの準備をしていますが、コース設置の仕上げやイベント後の片付けなどは、参加者の皆様に任意ですがお手伝い頂いています。特に片付けはご協力くださる方が多く、とても助かっています。お祭りのイベントでは、初期からの参加者に任意でサポートをお願いしていますが、毎回4名程集まってくれます。サポートメンバーには、こちらの思いつきでタミヤTシャツを贈呈しています。」
── 安野自動車さんは様々な場所でイベントを行っていますが、コースレイアウトを考える際のポイントや気を付けている事などはありますか?
「レース会場が工場だと、コースアウトがマシンにとって致命的なダメージになりやすいので、コースアウトしにくいレイアウトを常に心がけています。排水溝やゴミ置き場など、マシンにとって危険地帯が多々ありますので(笑)。スロープをなるべく使わない、使った場合はストレートを多く入れる、など工夫をしています。他にも、スタート・ゴール部分はストレートのみにして、勝ち負けがわかりやすい様にしたり…と、いろいろと気を付けていますが、毎回完璧には出来ません。その辺は皆様にもご理解いただいて、気軽に楽しんでレイアウトを考えています。」
── イベントでの音響機材や、レースのMCなどはどうしていますか?
「音響機材は特に設けておりません。工場内に響き渡る楽しい会話や笑い声、サーキットを走りぬけるミニ四駆の音がメインBGMです。あとは、工場で流している地元のFMラジオが耳に入るくらいでしょうか。お祭りでのイベントやレース実況もマイクなどは使わず、常に社長の地声で頑張っています。」
── 安野自動車さんはTwitterやブログなどを上手に活用していますが、SNS以外でのイベントの告知はどの様に行っていますか?
「初期の頃は、なるべく多くの方の目に触れる事を目的に、地元のお祭りやイベント用のチラシにミニ四駆大会も一緒に案内を載せて頂き、市内の小学校やスーパー、駅前の掲示スペース等にイベント告知のポスターの配布や掲示をお願いしました。お祭りでのミニ四駆大会に参加してくださった方には、毎月定例の大会のお知らせもお渡ししています。お祭りがきっかけでミニ四駆に興味を持った方が、定例大会にも足を運んでくださるのはとても嬉しいですね。」
── ミニ四駆イベントを開催することで、ミニ四駆以外に広がる繋がりはありますか?
「全ての縁に繋がっているように思います。イベントに参加してくださっている方々以外にも『坂戸のお祭りイベントと言えばミニ四駆』というイメージで、ここ数年で当店のミニ四駆大会が地域の方々にも認知されつつあるのは嬉しいことです。街を歩いていて『ミニ四駆の人だ!』と子供達に声をかけられることもありますよ。」
「当店の本業は自動車屋ですが、お客様から『子供の頃、ミニ四駆で良く遊んだよ』『近所の子がミニ四駆始めたらしいから、ここで大会やってると教えておいたよ』『使っていないコースがあるからミニ四駆大会で使ってよ』などとお声掛けを頂いたり、逆にミニ四駆大会に遊びに来てくださった事がきっかけで車の整備や購入に繋がる事もあります。」
── イベントを長く続けて行くための秘訣はどんなところにあるのでしょうか。
「長く続けて来ているという実感があまりないのですが、気付けば12年。ミニ四駆大会が日常生活の一部、人生の一部になっています。10年以上続けていると、参加者が大勢いる時もあれば、少人数でのんびり開催する時もあります。ですので、どんな状況でも、その時々の良さを楽しむ気持ちが大切だと思います。秘訣は『あまり張り切りすぎない、無理をしすぎない、常に感謝の気持ちを持つ』といったところでしょうか? これまでも、そしてこれからも、皆様のご協力があってこその坂戸ミニ四駆だと思っています。」
── 安野自動車さん、素敵なお話をありがとうございました!
毎月行われる定例大会の他にも、同時開催の「軽トラ市」や地域のお祭りでのイベントなど、ミニ四駆だけじゃなく様々な楽しみが満載の『坂戸ミニ四駆大会』は、【安野自動車さん公式Twitter】や【安野自動車さん公式ブロク】でチェックする事ができます。今後も大注目ですね!
イベント主催者インタビュー集──バックナンバー
第1回 ミニ四駆で地域貢献!『muchuミニ四駆部』さん
一年ほど前、Twitter上でとあるミニ四駆イベントの告知を発見。Twitterのアカウント名は「muchuミニ四駆部」。告知の内容をよくよく読んでみると、どうやら佐賀県内にある印刷会社の社屋にミニ四駆コースがあって、それを月1回のペースで開放しているという。一体全体なんで印刷会社にミニ四駆のコースがあるのだろう??と編集部も興味津々。記念すべき第1回は、その「muchuミニ四駆部」さんにお話を聞いてみました!
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第2回 地元から公式大会優勝者を! 『Hi-Five北海道』さん
ミニ四駆イベント主催者にインタビューをして運営のあれやこれやを聞いてみる企画、第2回は北海道で月に一度ミニ四駆のレースを主催している『Hi-Five 北海道』さんにお話を伺ってみました!
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第3回 風呂四駆、ひな四駆、笹四駆…おもしろアイディアたくさん考えています! 『西院組(さいいんぐみ)』さん
ミニ四駆イベント主催者にインタビューをして運営のいろいろを聞いてみる企画の第3回は、京都は西院にある銭湯「旭湯」さんの浴場に縦横無尽にコースを敷き詰めてミニ四駆のレースをする「風呂四駆」、ミニ四駆をお雛様やお内裏様(おだいりさま)に見立ててひな壇を飾る「ひな四駆」などなど…キャッチーなネーミングで一度聞いたら忘れられない、インパクト抜群なミニ四駆イベントを主催している『西院組』さんにお話を伺いました!
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第4回 新しい世界にチャレンジし続ける! 『TMP-Team Modify Panoramagic-』さん
ミニ四駆イベント主催者にインタビューをして運営のいろいろを聞いてみる企画の第4回は、秋田のミニ四駆シーンを盛り上げるべく精力的にミニ四駆イベントを行っているミニ四駆チーム『TMP-Team Modify Panoramagic-』さんにお話を伺いました。なんと、9月に開催されたイベントが通算50回目の記念大会になるんだそうです。これはインタビューしない訳にはいきません!